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あがり症

日本人特有の「対人恐怖症」という言葉は、世界でも知られた概念です。実は日本人には「緊張」「あがる」に関係したある遺伝子型が多いことがわかっています。日本人がシャイと言われるのにも理由があるのですね。

人は緊張します。その度合いによって、パフォーマンス力はある特徴的なカーブを描きます(「第26回:ゴルフの心理学2」参照)。

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例を挙げましょう。

ある人が、会社でプレゼンテーションをするとします。明日の朝9時から、部長をはじめ社外の人々も集います。夜は緊張のあまりよく眠れません。いざプレゼンテーションが始まると、声が震える、頭が真っ白になる。せっかく準備したものを十分に発揮することができなかった。

この場合、緊張が強すぎたためプレゼンテーションというパフォーマンスがベストに発揮されませんでした。かと言って、彼が全く緊張していなければどうだったでしょうか。準備もほどほどに、ひょっとしたら気の抜けたプレゼンになったかもしれません。

 

このように、緊張を横軸、パフォーマンスを縦軸にとると、逆U字型の相関があることがわかっています。ほどほどに緊張するのがよいのです。

様々な類書があるかと思いますが、私の経験をまとめますと、あがり症は「自意識と自尊心のギャップ」によって発生します。他者から自分がどうみられるかという「自意識」と自分に対する自信や自己評価「自尊心」にずれがあるほど「あがり」ます。他者の目を気にしない自信家はあんまりあがらないでしょう?

対策は、自意識を抑え、自尊心を上げるということになります。これをカウンセリングを通して達成していきます。以下に要点を触れます。

Stressed Man

自意識を抑える

皆さんは「刑事コロンボ」というドラマをご存知でしょうか。よれよれコートを着た風采の上がらない刑事が、実は優秀な腕をもって難事件を解決していく、というストーリーです。乱れた天然パーマの頭を掻きながら、ボソボソと悪妻への小言をつぶやく。全然シャープな刑事には見えない。

 

実はこれは計算も入っていて、彼は容疑者のガードを下げ、油断させることで、巧みに情報を得ていきます。彼のスタイルは参考になります。そうです、思いっきり自分を冴えない人間にしましょう。自分をよく見せようとしない。そのままの自分を出す。

関連しますが、自分のパフォーマンスを成功させようと人間は思います。人から高い評価をうけるパフォーマンスにしたい。これは自分がどうみられるかという自意識を増します。逆転の発想でいきましょう。是非失敗する意気込みでやって下さい。

Handshake

自尊心を上げる

あがり症に取り組むときに、これは必ずと言ってよいくらい登場するテーマです。「第9回:自尊心について1」第33回:自尊心について2」をご参考下さい。あがり症の方々には、几帳面で生真面目な方が多い傾向にあります。きちんとやろうとする。どこかに完璧主義が覗く。できない部分のみを見がちなマイナス思考がある。

 

自分の今の位置を適確に評価してあげ、ユニークな存在であることにフォーカスしましょう。そのままの自分でよいのです。様々な理由で自尊心が低いと、上記の「ギャップ」が開きます。あなたの自尊心が低い原因を探りましょう。

当クリニックでは、上記に加え、10ぐらいの「あがらないためのルール」と5つぐらいの具体的なあがりを減らす手技を伝授します。加えて、ここが最も大事なのですが、個別のあがり症の背景を、生い立ち、性格、自尊心などの点から分析し、気づきを生みます。

 

あがっているときは、ノルアドレナリンという物質が上昇します。頭が真っ白になったり、声や手が震えたり、心臓がドキドキし手に汗をかくのもこのせいです。ノルアドレナリン作用を下げるタイプのお薬などを、必要があれば一時的に用いることもあります。効果はかなりてきめんです。慢性的な緊張を下げる術も大事で、上記の手技に組み込まれます。

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