ゴルフの心理学2

前回に引き続き、ゴルフ上達のための 「メンタル」 指南を続けます。

スコアが安定しないのはどうしたらよいのか?

ゴルフに向いた性格というのが 「Golf is not a game of perfect」 (*1) に出てきます。 強い意志のある人、夢がある人、夢に向かって長期的に取り組める人。 そして、ゴルフは90%がメンタルであると同書は言い切ります。 適切な 「考え方」 をすれば、スコアはよくなる、と。 そして、我慢と練習と継続 (Patience, Practice, Persistency)です (そうです。 やはりこれらははずせません)。

Nick Priceというメジャー大会を数多く勝った名プレーヤーの例がでてきます。 彼は以前、スコアに波が大変ありました。 波に乗れば64などというすごいスコアを出す一方、崩れるときも多かったのです。 彼は最初の数ホールがうまくいくとその日のスコアがよいというパターンに気づきます。 つまりその数ホールの出来映えに彼の考えは支配され、結果スコアが影響されていたのです。

 

その後逆に、彼は自分の考え方を自らの支配下に置き、プレーへよい影響を与えることでより安定したプレーをしていきます (結果彼は歴史に残るプレーヤーになりました)。 「Free Will」 という言葉がありますが、つまりあなたがどう考えるか、どう選択するかは、全くあなた次第ということです。 Nick Priceの場合は、最初の数ホールがいかなる結果でも、ポジティブに考え続けることが重要でした。

ゴルフを超えたアドバイスとしてこのFree willを応用すると、毎朝その日一日どんなに楽しいことがあるかを考えましょう。 それが幸せを感じられるようになるための道です。 また、一日の終わりにその日にあったよいことを反芻しましょう。

スコアが伸びない

ある輝かしい実績を残したプレーヤーがいました。 彼はRanch (農場をもった敷地の広い家) を建てることが夢でした。 トーナメントに勝つごとに少しずつその夢を実現していきます。 しかし、Ranchが完成してしまうと、彼は一切勝てなくなったそうです。 Pat Bradleyという有名な選手は夢であったメジャー・トーナメントに勝った直後に 「さて次の目標は何かしら?」 と聞きにきたそうです。

【教訓7】夢をもつ

シンプルですが、「夢をもつこと」 「大きな目標を持ち続けること」 がトップゴルファーと数多く接してきた筆者曰く、彼らの成長に不可欠だということです。 アマチュアには関係ないと言わないでください。 これは我々にも参考になります。

プレイで緊張する

さあ、メンタルのスポーツ 「ゴルフ」 で、プレッシャーや緊張にどう打ち勝つかが次の課題です。 クラブのトーナメントでリードして迎えた最終ホール、体が緊張して動かなくなる-------。

上記の本では 「Choking」 と呼んでいます。 「怒り、疑念、恐怖など外的要因のためにショットの前に集中できなくなること」 と定義されています。 勝つためのプレッシャー、一打の重み、ミスすることへの恐怖などがそれを引き起こします。 このChoking対策です。

  • 【教訓8-1】目の前の一打と今現在にのみ集中する。

  • 【教訓8-2】スイングの詳細などを考えない。 気持ちと体をリラックスさせるように努め、何より自信をもつ。 自分のスイングを信じる。

  • 【教訓8-3】ルーチンとゲームプランを保つ。

どれもわかっているのに難しいという声があるでしょう。 8-3はショットを安定させることにつながります。 よいショットの80%はスイング前のアドレスや集中に規定されているといわれています。 ショットの安定にはもちろん、練習も大事です。 プレッシャーのなかで安定したショットを生むには、練習による 「習慣化」 がプレッシャーをもしのぐ必要があるからです。

「パフォーマンス不安」 という言葉があります。 スポーツ選手はおろか、我々も経験する、人前で話す、カラオケを歌う場面などで緊張することです。 ピアニストの方、人前にでる必要のある方、社内プレゼンテーションで緊張する方など、様々な方々の 「パフォーマンス不安」 のお力添えをしてきました。

Jack Nicklausは彼のピークを過ぎた頃、こういったそうです。 「緊張感をもう一度取り戻せたら、また勝てるように思う」。

「緊張」 と 「パフォーマンス」 の関係は、逆U字型といわれます。 つまり、緊張はある程度まではパフォーマンスと比例する (緊張するほどパフォーマンスがあがる)。 しかし、ある一定の緊張を超すとパフォーマンスは逆に下がる (グラフにすると逆U字型の相関になります)。 緊張感はよりよいパフォーマンスに必要なのです。 それが度を過ぎると、手が震えたり、声が震えたり、頭が真っ白になったりして、パフォーマンスが落ちるのです。

度をこえた緊張 「パフォーマンス不安」 への対策は、

  1. 場数を踏む

  2. 自分を良く見せようとしない

そして上記にもある、

  1. パフォーマンス前のルーチンをもつ

ということが基本かと思います。

ルーチンには、興奮した交感神経を沈めてリラックスするための呼吸法など、独自の方法が確立されていると有利です。 また、ポジティブに考える、成功しているイメージをもつなども第25回にある通り有効です。 かつて巨人軍の長嶋茂雄選手は、打席に入る前にヒットを打ってベースを駆け抜ける自分をイメージしていたと言います。 彼はいかにもポジティブな考えの持ち主だったと思います。 また、自信も助けになったでしょう。

番外編: 池越えのホールでいつも池にいれてしまう

【教訓9】池に入れたくなければ、「入れない」とは考えない。

脳は「するな」という指示をあまりよく認識しません。ターゲットに向かって打つ(「する」)ということのみを意識しましょう。

トッププロになったTom Kiteは、元来身体的に恵まれていませんでしたが、メンタルの力で強くなっていきました。逆に身体的、才能的に恵まれていても、メンタルなくして確立されないのがゴルフです。「Golf is not a game of perfect」を参考に、ゴルフのメンタル面について触れてきました。「プロゴルファーとアマチュアの我々は違う」という声があるかもしれません(私自身プレーヤーとしてはそう思ったときもあります)。しかし、メンタル、特に「考え方」がもつパワーについてはすべてのプレーヤーに当てはまることが多いと思います。トッププレーヤーも未熟なメンタルをもっていた時期があるのです。

メンタルのスポーツ「ゴルフ」。それ故の魅力は語り尽くせません。そして、これだけ自分と向き合えるスポーツも少ないかもしれません。

では、今日も「こころ」の鍛錬にドライビングレンジに行ってきます。