インターネット上ではフェイクニュースが問題になったりしていますね。何を信じたらよいか、慎重に見極めないと、という時代です。

一方、皆さんは、自分の頭のなかで考えることは、すべて事実だと思っていませんか?

でも、例えば、

はどちらが長いかという錯覚はよく知られていますよね。

では、

「世界の貧困層は増えている」
「発展途上国は大所帯家族が多く貧しい」

これらは正しいですか?私たちの常識的な反応では、「はい」かと思うのですが、実は「いいえ」です。このように、私たちの「固定観念」には間違いが多いですよ、と指摘した本があります。

「FACTFULNESS」
ハンス・ロスリング著(2018年)

著者のハンス・ロスリング(Hans Rosling)は、様々な統計的データを持ち出して、私たちの観念を論破します。彼のTED Talkでは、アル・ゴアやラリー・ペイジが質問に押しかけたそうです。ロスリング曰く、私たちが間違った固定観念を持つ原因の一番は、情報が古いことだそうです。メディアなどが原因というよりも。

さて、私たちの考えがそれほどあてにならない例をあといくつか。

カウンセリングの席で、クライアントの方がその半生を語ってくれていました。その話を終えると、クライアントは言いました。「私ってほんと価値がないんです」。それは私にとって驚きでした。なぜなら、その人が語った半生はとても素晴らしく尊敬に値するもので、聞きながら私は、「この人は自分をさぞ誇りに思っているだろう」と考えていたからです。そう思った直後に、ご本人から全く反対の「考え」を聞いて驚いたのです。一字一句を同時に聞いていても、こんなにも取り方は違うのだなと思った次第です。

ある人は、青いムスタングという車を道で見かけるたびに心がかき乱されました。なぜなら、青いムスタングを運転する人にこっぴどく振られる過去を持っていたからです。今もその色の車種を見かけるたびに、「あの人が乗っているのでは?」と、当時の辛い気持ちと同時に思い出すのです。しかしもちろん、同じ人が運転しているわけではありません。

人間は1日に5万回ほど考えるそうです。うちネガティブな考えは、その8割にも及ぶのだとか。世の中そんなに悪いことばかりではないと思うのですが…。ちょうど、上記の「世界の貧困層は増えている」という固定観念も、世の中を憂う私たちのネガティブな気持ちからきているのかもしれません。

このように、私たちは、言ってみれば「色眼鏡」をかけています。それを通して、物事を捻じ曲げたり、偏って見たり解釈したりしているのではないでしょうか。

「FACTFULNESS」が指摘するように、最新の「根拠」を持つことは一つの解決になるでしょう。

また、私は、こう言いたいと思います。
「滝のうらにいてください」と。

つまり、滝の流れる水が私たちの雑多な考えだとすると、その滝の後ろにあるひんやりとした場所にいて、外から滝(考え)を眺めてくださいと。ご自分の考えを「客観視」するということです。滝の真っ只中にいて、自分の考えに翻弄されるよりも。すると、その歪みに気づきやすくなるのではないですか?

認知療法やマインドフルネス認知療法は、こうした視点を手に入れて、考えをまっすぐにしていってくれます。