人工知能(AI)―人間が引退する日―

人工知能(AI)が再びブームとなっておりますが、こと、これに関して一言で言えば「自己矛盾」です。必ず言われるのは、人工知能に人間が取って代わられるのではないかという恐怖です。自分自身である脳を取って代わり得る人工知能を自らが作る、そして自己と自己が作ったものとに衝突と矛盾が発生すると言う現象です。

Artificial Intelligenceと聞けば、一般的にはSF映画等のイメージがまだ強いのでしょうか。アニメ『攻殻機動隊』のタチコマや、映画『アイアンマン』のJarvis、ロビン・ウィリアムズ主演の映画『アンドリューNDR114』、そして実在するものではSiriやPepperが頭に浮かび ます。こうして見てみると、一口にAIと言っても統一性があるわけではなく、兵器から実体を持たないクラウドシステム、ロボットのブレインとしてなど、かなり 多様に実装できる可能性があることが見受けられます。

AIとは、人工的にプログラムされた知能体(あるいは知能ネットワークと呼ぶべきか)で、与えられた処理能力の複雑さによってレベル分けされていますが、最高レベル4のAIの場合、 ディープラーニングなるアルゴリズムを用いて自身で物事を学習、適用しながら進化していくことができるようです。

1960年代に、AI生みの親でありコンピュータサイエンスの巨匠と呼ばれるジョン・マッカーシーがダートマス大学在学中に発表したリサーチで、初めて“Artificial Intelligence”という用語を用いたところからAI史が始まります。彼が開発した言語LISPは現在もAIの主要言語として使用されていますが、その最終目標はヒューマン2.0の完成、と言ったところでしょうか。

ではその目標が達成される、とは具体的に何を意味するのでしょう。

最近では、国民一人一人の行動・言動を監視/分析し、自習能力を経て、国家そして個人に脅威となりうる存在を事前に予想し犯罪を阻止するマシンをテーマとしたCBSの人気海外ドラマ『Person of Interest』が(可能・不可能はともかくとして)一つの目標地点として考えた際、非常に興味深いものでした。

人間の手となり足となるロボット開発ブームや医療界におけるクローン技術に次いで、Artificial Intelligence は新たな可能性と脅威をもたらす、と懸念されています。一つの大きなメリットとしては、やはり上記ドラマのようなビッグデータを軸にした国家セキュリティ等 への適用ですが、デメリットでは職業における主導権交代が大きな例として挙げられており、10年以内にはカスタマーサービスや、自動操縦テクノロジーを用 いてタクシードライバーまでが取って代わられるかもしれない、のだとか。

この話題について大変示唆に富む記事が以下。バラク・オバマが退任する前に、MITメディアラボの伊藤譲一氏と対談したものです。

バラク・オバマが伊藤穰一に語った未来への希望と懸念すべきいくつかのこと (WIRED.jp)

トランプ大統領の誕生直前に、バラク・オバマがホワイトハウスから問いかける最後のメッセージ。AI、自律走行車、サイバーセキュリティー、シンギュラリ ティ。デジタルテクノロジーがが引き起こす社会的、経済的、倫理的な困難に、アメリカは、世界はいったいどう立ち向かうべきなのか。

汎用AIが10〜20年で出現するとのJoi氏の指摘、オープンであることの重要性、価値観、人間のコミュニケーション/関係性、格差防止のベーシックインカムについての話、そして人間の良識が最後は問われています。

オバマさんの人間性がクローズアップされる(弱さを受け入れれるところ、良識のあるところ、政治は抜きにして、この人を人間として信じれるという直観です。こういう直観って正しい。

 

政治家としては優しすぎるのではと心配してしまうぐらいの人間性を感じる。この人物を選んだアメリカは自らを誇りに思うべき)。

彼は言う。

「楽観的なんだ。人間はこれまでにたくさんのいい仕事をしてきた。これからも長い時間をかけて同じように取り組んでいけばいい」。