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子育ての流儀

子育てにはあまたの方法がいわれています。

 

アメリカでは、出生後の子供を布でぐるぐる巻きにします。 その窮屈そうな様子に驚きを感じた方も多いと思います。 「スウォドリング」 というのだそうですが、なぜそうするのか疑問でした。 看護師いわく 「その方が子供が安心できるから」 。 本当の理由は定かではありません。

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実はこのスウォドリング、日本でも高度成長期の少し前ぐらいまでは、ところによって行われていたそうです (*1)。 また南北アメリカ大陸の一部やアフリカの一部、ヨーロッパやアジアの広い地域 (特に東部日本含む) で伝統的に行われてきたとのことです。 育児法の文化間の違いは興味深いですね。

さて、あまたある子育て法の中で、簡単で効果的な方法のひとつについて触れます。

親子相互交流療法 (PCIT: Parent-Child Interaction Therapy) と呼ばれる、フロリダ大学のシエラ・アイバーグが考案した方法です。 子供がぐずる、かんしゃくを起こす、口答えをするなど、子育てで頻繁に遭遇する場面に有効なスキルです。 子供の対象年齢は、2歳から12歳ぐらいまでとされています。 問題行動のある子供に主に用いられていたのが、虐待を受けた母子にも効果的として知られています。

具体的な方法に簡単に触れましょう。

母親あるいは養育者が子供と共に遊戯 (遊び) 療法を行います。 そこへ別室からセラピストが、イヤホンを通して母親を実況指導するというものです。 母子の結びつきを強化する段階としつけの段階があります。

その中でも、子供をしっかりほめるというのが基本になっています。 そして母親もセラピストからほめられる。 逆に望ましくない行動には関心を向けない。 日本にもこの方法が導入され、同等の効果がみられているようです (*2)。

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ほめるということ、叱るということ、そして体罰、これらについても様々な文化間で違いがあるようです。 アメリカで子育てをしていて混乱することがありませんか?

体罰については、面白い社会文化人類学的視点があります。

体罰をもつ文化は、農耕民族に多いというものです。 ベストセラー作家であり、UCLAの教授でもあるジャレド・ダイアモンドは、「農耕民族は元来、収穫した作物、家畜を保存、管理する必要があった。 それらに子供が害を及ぼさないよう、しつけが殊更重要で、体罰というものが残っていった」 というのです。 実際、ヨーロッパの国間でその傾向があるようですし、日本、メキシコなどもそうなのかなと思います。 一方、狩猟民族では上記のような必要性がなかったので、体罰が根付かなかったというわけです。

様々な視点がありますが、子育ては一つの文化。 慈しみたいですね。

親子相互交流療法も踏まえた 「親スキル」 についての実践的なセミナーを行います。 下記をご参照下さい。

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