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​眠れませんか 2: 不眠克服法

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不眠が続くと…

眠れないことが続くと、作業効率の低下、事故、仕事欠勤などで、年間3.5兆円程度の経済的損失があるとの報告があります (1996年アメリカの報告) 。 また、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、 脳梗塞などの疾患のリスクを上げたり、寿命にも影響しうるとされています。 そして、こころの問題が二次的に発生してくることも多いです。

不眠の原因

環境要因: 暑さ、明るさ、時差など

身体要因: 年齢や性差、頻尿、痛み、かゆみなど

心の要因: 悩みやイライラ、精神的ストレス、うつなど

生活習慣要因:アルコールやニコチン、カフェインの摂取、薬物の副作用など

が言われています。 では、どうやったらもっとよく眠れるのでしょう?

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不眠克服法 (Sleep Hygiene)

日本語では、「よく眠るための心得」 とでもいったら良いでしょうか。

  • 刺激物を避ける : カフェイン、たばこ、アルコール

  • 寝室の環境を快適に保つ。

  • 夕食を軽めにする : 5~6時間前には終える。

  • 就寝、覚醒の時間は一定にする。

  • 本当に疲れた時に就寝する。 20分以上寝れないときはベッドを出る。

  • 時計を見ない。 目が覚めたらベッドを出る、リラックスできることをする。 灯りは暗めに。

  • 日中の昼寝を避ける、あるいは早めに。

  • 夜に水分を適度にとる。

  • 運動をする : 就寝直前の激しい運動は避ける。

  • リラックスできる運動 (ヨガなど)は良い。

  • 適度に自然光にあたる。

  • 入眠までの心地よい規則的な儀式を持つ。

  • 悩み事を持ち込まない。

  • ベッドでは寝る以外のことをしない。

  • 睡眠日誌をつける。

などです。 皆さんもご存知のことが多いでしょう。

しかしこれらをしっかりとやる方は少ないようです。ハーバード大学に睡眠クリニックがありますが、ここでは専門の睡眠カウンセラーが上記の指導をしっかり行います。 その様子のビデオをご参照ください。 上記の心得を睡眠日誌とともに、2週間から1か月 「継続する」 ことが睡眠の改善に必須のようです。 睡眠というのは習慣によるところが大きいからでしょう。

このSleep Hygieneを一歩進め、これらをもとに系統立ったカウンセリングとして治療を進めることもあります。 「認知行動療法」 といいますが、以下の2つがよく知られています。 これらは専門家の指導のもとに行われると、より効果的のようです。

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○刺激制御療法

布団、寝室、就寝時刻など、寝れないことが条件付けされている (条件不眠) という考えのもとに、良い睡眠をとるための新しい条件付けを作るという方法です。

  1. 本当に眠くなってから布団に入る。

  2. 寝床は睡眠以外に使わない。

  3. 眠れなければ寝床を出る。 音楽、読書などを暗めの別室で。 本当に眠くなったら寝床に戻る。

  4. 3. を繰り返す (これにより一週間は寝不足になるかも) 。

  5. 起床時間を一定に。 起きたら、朝日を浴び、熱いシャワーを浴び、朝食をとる。

  6. 昼寝はしない。

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○睡眠制限療法

人は寝ようとすればするほど眠れない (精神生理性不眠)、本当は眠れているのに眠れてないと思い込む (睡眠状態誤認) という考えをもとに、実際寝床にいる時間と必要な睡眠時間を近づけるように取り組みます。

  1. まず、必要な睡眠時間には個人差があると理解する。

  2. 睡眠日誌を1~2週間つけ、平均睡眠時間をもとめる。

  3. 目標床上時間 = 平均睡眠時間 (中途覚醒は除く) +15分 (最低5時間以上) と設定する。

  4. 就寝時刻=現在の起床時刻—目標床上時間と設定する。

  5. これを一週間続け、平均睡眠時間が目標床上時間の90%以上なら目標床上時間を15~30分延ばす。

  6. 80%以下なら一週間の平均睡眠時間まで目標床上時間を減らす。

  7. 80~90%の場合は、目標床上時間を変えない。

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○睡眠を助ける服用薬、サプリメント

非処方薬では、メラトニン、抗ヒスタミン剤などが主流で効果は不特定です。 処方薬では、ベンゾジアゼピン系あるいは非ベンゾジアゼピン系という睡眠剤が主流ですが、習慣性に注意をする必要があります。

習慣性のないものには、メラトニン作用薬、トラゾドンなど、他にも様々な種類がありますが、専門医にご相談下さい。 また覚醒を促す物質として、Orexin (hypocretin) が注目され、この阻害薬が新たな睡眠剤として期待されています。

その他、リラクゼーション法、つぼ (安眠、百会、失眠など)、マッサージ、アロマなど効果は不特定ですが、様々なアプローチも考慮できるでしょう。

※除外しておきたい特殊な睡眠障害の例

睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害、レム睡眠行動障害、夢中遊行、夜驚症、睡眠ミオクローヌス症候群

など様々な病態がありますので、専門家への相談が必要です。 睡眠時脳波などにより診断され、各々に特化した治療が施されます。

あなたは眠れますか?
2週間以上にわたって、週3夜以上眠れない場合は専門医へのご相談を考慮下さい。

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