皆さんはTMS (文献1) 治療というのをお聞きになったことがありますか?

最近NHK特集でもとりあげられ、問い合わせが殺到しているようです (文献2)。 こちらLAでも異例の反響があります。 なぜこの治療法がここまで注目されているのでしょうか?

突き詰めて考えると、理由は、

1. 従来の治療とは全く異なる画期的な治療法

例えば 「薬を飲まなくても治せる」 ということです。 いろいろな意味でこれまでの治療は満足できなかったり、抵抗感があった、ということでしょうか。 さらには、薬でよくならない方が多く改善するというのも大きな魅力ですね。

2. 副作用がほとんどない。

どのような治療もこれが一番大事ですよね。

3. 脳科学と 「うつ」 のメカニズムに基づいている。

医学、科学の発展、蓄積の上にもたらされた最新の技術といえます。 NHK特集のタイトルも 「ここまで来た! うつ病治療」 でした。

以下に、この治療法の詳細をご説明します。

TMS治療とは

TMSは、最新のうつに対する治療法です。 アメリカFDAに認可を得ています (日本未認可)。 うつのほか、不安、パニック、心理的トラウマ、強迫神経症、耳鳴り、偏頭痛、神経内科疾患 (パーキンソン病、脳梗塞後麻痺など) など広く効果があるといわれています。

TMSが効くメカニズム

  1. 磁気で脳を活性化します (図1)。

  2. 左前頭葉 (図2) という脳の部位に限定し刺激します (FDA認可を受けたTMS治療機器、NeuroStarはmm単位で正確に部位を決定します)。 うつの時、脳の活動が低下していることがいわれてきました (図3:より黄色い部位は活動の高さを示します)。 特にこの左前頭葉の活動低下が長年の研究により明らかになっています。

  3. その他のうつに関わる脳の回路、脳内物質を正常へ近づけます。

TMSの効果

  1. 大規模な多くの臨床治験により効果が証明されています (文献3)。

  2. 薬物療法でよくならない方々にも高い効果が示されています。

  3. 薬物でよくならない方を含む複数の臨床治験では、6割近くの方が良好な改善を示しました (表1)。 7割以上の方に効果があるというのが実際の臨床現場の声です (文献4)。 3割以上の方が寛解、つまり症状がほとんどなくなるという改善を示しました。

  4. 改善の時間経過は比較的はやく、2週間前後でも効果がみられる例が少なくありません (表2)。

TMSの副作用

  1. 局所の不快感、頭痛など。 多くの場合軽度で、その後の治療継続が困難な例は5%以下でした (文献5)。

  2. 薬物療法の副作用と比較して、全身性の副作用がありません (図4)。

  3. 画像検査として長く用いられているMRIと同じ、磁気による方法を用いています。 「磁気」 の安全性は長く知られているということです。

  4. 非常にまれに、けいれんの報告がありますが、0.1%以下の頻度です。

  5. これまでに20万回以上の治療が行われています。

なぜTMSが画期的か?

  1. 薬が効かない場合にも奏効する。

  2. 薬に抵抗のある方に新たな選択肢となる。

  3. 磁気による局所の刺激のみ。

  4. 薬物療法のような全身性の副作用がない。

  5. 覚醒したまま、麻酔もない治療。

  6. うつの原因となる責任部位に直接、限局的に働きかける (病態にそくした治療、脳回路の正常化)。

  7. 治療後の再発が少ない (6ヶ月で11% (文献6))。

  8. 外来で行われ、基本となる各治療は40分ほどです。 治療後、すぐにご自分で運転が可能です。

治療スケジュールは?

一回40分ほどの治療を週5回、2~6週間程度継続することが基本です。
回数、期間などは個人差があり、医師との相談により決められます。

保険の適用

Anthem Blue Cross、Blue Shieldなどが保険適用を行っています。

どのような方に勧められるか?

  1. うつがなかなか治らない。

  2. 薬には抵抗感がある。

  3. 薬や他の治療が効かない、あるいは不十分。

  4. 薬で副作用が出やすい。

  5. 副作用の少ない治療がよい。

  6. うつのメカニズムに即した治療を望む。

  7. 他のこころの問題 (不安など) で困っている。

当クリニックにおけるTMS治療を含む診療の実際については、こちらをご覧下さい。
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