Michio Kaku氏 (加来道雄) は、理論物理学者であり、ベストセラー作家です。 彼の近著には 『Physics of the Future (2011)』 『Physics of the Impossible (2008)』 などがあります。 つまり、一流の物理学者にして、未来を科学的に予言する人です。

皆さんは、タイムマシーンを信じますか? テレポーテーション (例 : ドラえもんの “どこでもドア” ) を信じますか? またはハリーポッターのように姿を消すクロークは可能だと思いますか?

私は、いずれもSFの世界の話で、想像の産物にすぎないと決めつけていました。 Michio Kaku氏の著書を読むと、これらが実際可能な技術であることがわかります。 彼は本格的な物理学者ですから、これらがいつ頃までに実現するかを予見しています。 非常にエキサイティングです。

”Mind Reading” 

さて、ひとのこころを読むこと (Mind Reading) は、可能になるのでしょうか?

fMRI (functional magnetic resonance imaging) などの脳画像技術の進歩により、かなりの空間的時間的解像度で脳の動きがわかるようになっています。 Michio Kaku氏によると、これらの技術を用いることで、人間のこころを解読することがかなり可能になるそうです。 手始めに、「うそ発見器」 は、脳の活動の変化を観測することで、非常に高い精度をもってきているようです。 Anterior cingulate cortexなどといった脳の部位の活動が指標になるようで、この 「うそ発見器」 は法廷の場で力を発揮するようです。

また人間がうそをついているか、いないかのみでなく、具体的に何を考えているかを、読み取れる可能性もでてきています。 fMRIの解像度が上がり、ある言葉とそれを考えたときの脳の活動がどこで起こるかがわかれば、言葉—脳活動という相関を用いた 「脳活動辞書」 ができるというのです。 脳の活動から、その人が考えている単語なり、内容をつかむということです。 脳の活動をその人間の外部から測定すれば、この 「辞書」 に照らし合わせて、その人の考えがわかるという原理です。 このような 「脳活動辞書」 が可能なほど、言葉と脳活動が特異的に相関できるかは、正直難しそうですが、将来的に実現する可能性があるそうです。

しかし、「うそ発見器」 や 「こころ解読器」 がはびこると、社会にとって大変なダメージになりえます。 もちろん個人のプライバシーのこともそうですが、うそをつくという社会の潤滑油が奪われることで、われわれ人類の生活が頓挫してしまうのではないかと、Michio Kaku氏は懸念しています。

 

ところで、ビジネスのマーケティングの場で、Mind Readingの試みはすでに行われてきています。 消費者が、新製品をみてどう感じるかを、脳活動から情報を得て、商品開発やマーケティングに役立てるのです。 萩原一平著 『脳科学がビジネスを変える』 (日本経済新聞出版社) に詳しいです。 この著書にもありますが、人間の意識できていることは、わずか5%程度のようです。 つまり95%は 「無意識の世界」 が支配しているのです。 この無意識を知ることが、マーケティングには肝要なわけです。 上記のMichio Kaku氏がいう 「脳活動辞書」 の方法論で無意識の世界まで解読が可能なのでしょうか。 彼曰く、夢も解読・録画可能になるかもしれないので、やはりできるのでしょうか。 「脳がこころの窓」 と呼ばれる時代がくるようです。